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輪之内町のゼロカーボン革命

輪之内町のゼロカーボン革命

岐阜県輪之内町の冬の朝、まだ暗い空にぼんやりと浮かぶ街灯の下、一台のリユースEVが静かに動き出した。排気ガスを一切出さないその姿は、まるで町全体の未来を象徴しているかのようだ。

「ゼロカーボン・リユース事業の連携」という言葉を聞いて、多くの人は難しい技術用語や壮大な計画を想像するかもしれない。しかし、輪之内町の取り組みは、実にシンプルで身近なものから始まっている。

不要品が宝に変わる瞬間

1月15日、町内のある家庭から出た不要品が、マーケットエンタープライズが運営するリユースプラットフォーム「おいくら」を通じて新たな命を吹き込まれた。家具、家電、衣類...かつてはただの「ゴミ」とされていたものが、査定を経て次々と買い手のもとへと旅立っていく。

「驚いたのは、捨てられるはずだった品物の多くがまだ十分に使える状態だったことです」と、町の環境政策担当者は語る。「あるお年寄りの家から出た食器セットは、若いカップルに喜ばれ、また別の家庭の子供服は里親家庭に届けられました。」

数字が語る現実

輪之内町の廃棄物処理費用は年々増加し、2023年度には約3億円に達した。その中で、まだ使用可能な状態の品物が占める割合は約15%にものぼるというデータがある。これは単なる数字ではなく、町の財政と環境にとって大きな負担となっていた。

「おいくら」との連携により、町は廃棄物処理費用の削減だけでなく、町民に新たな収入源を提供することにも成功した。2024年1月から6月までの半年間で、町内から出品された品物の総額は約120万円に達し、そのうち約80%が町民の手元に還元された。

リユースEVの挑戦

一方、町の公共施設では新たな試みが始まっている。SMASが提供するリユースEVが公用車として導入され、その経済性と実用性が検証されているのだ。

「新車と比較するとバッテリー性能は劣りますが、条件次第で十分に車両電源として活用可能です」と、SMASの担当者は説明する。「特に災害時には『動く蓄電池』として機能し、防災力を高める効果も期待されています。」

リユースEV

町民の声

「最初は半信半疑でした」と話すのは、リユース事業に参加した町民の一人。「でも、実際に品物が売れてお金になるのを見て、驚きました。今では家の中を見回して、『これは売れるかな?』と考えるようになりました。」

また、リユースEVの運用実証に携わる公務員はこう語る。「走行距離や充電状況のデータを毎日チェックするのが日課になりました。新車と比べて多少の制約はありますが、町のカーボンニュートラルへの貢献を実感しています。」

連携の輪

輪之内町の取り組みは、単なる事業の連携にとどまらない。町は2024年7月にOKB大垣共立銀行と「地域のサステナビリティに関する連携協定」を締結し、これを通じてOKB大垣共立銀行グループの共友リース株式会社とSMASのモビリティ分野における提携を進めている。

「金融機関との連携は、持続可能な地域づくりに新たな可能性をもたらします」と、大垣共立銀行の担当者は語る。「リユース事業の資金繰り支援やEV導入に伴う融資など、地域経済の活性化にもつながると考えています。」

未来への一歩

輪之内町は、第六次総合計画において「環境にやさしく快適なまちづくり」を基本目標に掲げ、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロの達成を目指している。そのために、これまで公共施設のLED照明の導入など、脱炭素化に向けた施策を推進してきた。

「リユース事業とEVの導入は、その目標に向けた大きな一歩です」と、町長は語る。「町民一人ひとりの意識変革と行動が、持続可能な地域づくりにつながると信じています。」

あなたも参加できる

輪之内町の取り組みは、決して特別なものではない。どの地域でも、どの家庭でも、今日から始められることばかりだ。不要品のリユース、省エネ家電への買い替え、公共交通機関の利用...小さな一歩が、やがて大きな変化を生む。

今週末、あなたの家の押し入れや物置を開けてみませんか? 思い出の品、使わなくなった家電...それらが誰かの役に立ち、地球環境の保護にも貢献するかもしれません。輪之内町のゼロカーボン革命は、まさに私たち一人ひとりの意識と行動から始まるのです。

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