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桃原用昇氏14億円寄贈 石垣の未来を紡ぐ希望の糸

桃原用昇氏14億円寄贈 石垣の未来を紡ぐ希望の糸

石垣市の中心街を歩いていると、どこからともなく潮風とともに子どもたちの笑い声が聞こえてくる。この島に生まれ育つ子どもたちが、どんな夢を描き、どんな未来を紡いでいくのか。そんなことを考えていた矢先に届いたニュースがある。元産経新聞顧問で角川書店専務を歴任した桃原用昇氏(83)が、約14億円の国債を石垣市に寄贈し、市が一般財団法人を設立するというのだ。

故郷への恩返し、65年越しの想い

桃原氏は1941年、石垣島に生まれた。戦後の混乱期、家族とともに苦労を重ねながら成長し、やがて上京。角川書店で辣腕を振るい、産経新聞でも要職を歴任するなど、東京を拠点に華々しいキャリアを築いた。しかし、故郷への想いは常に胸に秘めていたという。

「65年前に石垣を離れて得たすべての財産を、青少年の人材育成、文化振興支援などに寄贈できることを心からうれしく思う」。寄贈の記者会見で桃原氏はそう語った。故郷を離れて得た成功を、次世代の子どもたちのために還元する。その想いは、石垣市民の心に深く響いた。

年間4300万円、子どもたちの未来に投資

寄贈されたのは、額面約14億4000万円の日本国債と外国債。これを運用することで、年間約4300万円の利払いが生まれる。市はこの資金を青少年の人材育成と文化振興に充てる計画だ。

具体的には、高校生や大学生を対象とした奨学金の給付、読書支援事業、文化芸術活動の支援などが想定されている。すでに過去の寄贈金を基に設立された基金では、大学生12人、高校生6人に奨学金が給付されている実績がある。

染織コレクション、文化の継承も

国債の寄贈だけではない。桃原氏は人間国宝などの染織コレクション119点も市に贈呈している。これらの作品は、八重山の伝統文化を後世に伝える貴重な資料となる。

昨年、沖縄県立博物館・美術館で開催された企画展「沖縄の染と織の至宝―桃原用昇コレクション八重山展―」では、来場者数が7000名を超える反響を呼んだ。石垣市でも今後、これらの作品を展示する機会を設け、市民に伝統文化に触れる機会を提供する計画だ。

中山市長「夢を持って羽ばたく原資に」

桃原氏の寄贈に対し、中山義隆市長は「小さな石垣島から出て大都会の東京を中心に活躍された桃原様と同様に、島の子どもたちが夢を持って羽ばたくための原資として大切に使わせていただき、次世代の人材育成に役立てたい」と謝意を伝えた。

崎山晃教育長も「進学で学費の工面に苦労しているやる気のある高校生や大学生に未来を開く教育支援ができると思う。人生をかけて築かれた財産を石垣市の人材育成と文化振興のために活用させていただく」と感謝を述べている。

石垣の未来、子どもたちの可能性

石垣市は現在、入域観光客数が過去最多を更新するなど、活気に満ちている。しかし、その一方で、子どもたちの教育環境や進学支援には課題も残る。

桃原氏の寄贈は、そんな石垣の未来に大きな光をもたらすものだ。年間4300万円の運用益は、決して大きな額ではないかもしれない。しかし、その資金がどれだけの子どもたちの夢を後押しし、どれだけの可能性を引き出すことになるのか。そのインパクトは計り知れない。

故郷への愛、未来への投資

桃原氏の寄贈は、単なる金銭の贈与を超えた、故郷への深い愛と、未来への投資だ。石垣で生まれ育った子どもたちが、故郷の自然や文化に誇りを持ち、その魅力を発信できる人材に成長すること。そのための一助となることが、桃原氏の願いなのだろう。

石垣の子どもたちよ、大きな夢を抱いてほしい。故郷の先輩が遺してくれたこの財産を、しっかりと受け継ぎ、自分たちの力で未来を切り拓いてほしい。そしていつの日か、次の世代にそのバトンを渡す番が来たら、桃原氏のように故郷への恩返しを考えてほしい。

この14億円の寄贈は、石垣の歴史に新たな1ページを刻む出来事となった。桃原氏の想いが、これからどのような形で花開いていくのか。石垣の未来を見守る私たちにとって、それは大きな希望であり、楽しみでもある。

今週末、石垣の街を歩いてみてほしい。子どもたちの笑顔が、きっといつも以上に輝いて見えるはずだ。それは、故郷を愛する先輩が遺してくれた、希望の光のおかげかもしれない。

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