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長浜の医療再編 赤字22億円が示す危機と市民の選択

長浜の医療再編 赤字22億円が示す危機と市民の選択

長浜の冬は厳しい。2月の吹雪は、まるでこの街の医療問題を象徴しているかのようだ。積もった雪の下には、市民生活の基盤である病院再編問題が横たわっている。その深層を探るため、私は長浜の街を歩いた。

病院再編、雪解けの時期を迎える

2024年末、長浜市立長浜病院と市立湖北病院の決算が22億円の赤字に陥ったことが明らかになった。当初、2027年春を目指していた日本赤十字社による「経営統合」は事実上の先送りとなった。この数字は、長浜の医療インフラが直面する危機を鮮明に示す。

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しかし、問題は単なる赤字額ではない。市内には市立長浜病院、市立湖北病院、長浜赤十字病院の3つの病院があり、急性期機能が重複している。医師の働き方改革が進む中、この重複は持続不可能な状態に追い込まれつつある。

京大・滋賀医大の要望書

令和4年6月、京都大学と滋賀医科大学、両大学附属病院の学長連名で市長宛に要望書が提出された。その内容は明確だった。「厚生労働省から認定された重点支援区域(湖北圏域)地域医療構想を基本的な考え方とする病院再編計画を早急に進めていただきたい」。

背景には、医師派遣元の大学病院が抱える深刻な人手不足がある。医師の働き方改革により、これまでのように複数の病院に医師を派遣し続けることは困難になっているのだ。

指定管理者制度の選択と挫折

市は2023年9月、指定管理者制度の導入を選択した。日本赤十字社に3病院の経営を一体的に委ねる方針だった。しかし、22億円の赤字が判明したことで、この計画は再検討を迫られている。

指定管理者制度の導入には、安定した病院経営が前提条件となる。市立2病院の経営再建を優先せざるを得なくなったのだ。市は今後、医療系コンサルタントにも助言を求め、経営再建策をまとめ、7月に公表する予定だ。

市民の声、議会の動き

長浜市議会の地域医療再編特別委員会は、救急救命センターの存続や情報公開などを求める報告書を提出した。市民の不安は大きい。病院再編が進めば、地域住民の命綱である救急医療に影響が出るのではないかという懸念がある。

「学びの場」と題した市民向けの説明会が開かれ、長浜の医療問題で何が起きていて、何が問題なのか、どうなろうとしているのかを伝えようとしている。「市民による、市民のための、市民の医療再編」を提言する動きも出てきた。

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湖北病院の特別な役割

長浜市木之本町にある市立湖北病院は、へき地医療拠点病院としての役割を担っている。介護老人保健施設を併設し、包括的な高齢者のケアも行っている。この病院の存在は、長浜の医療再編を考える上で欠かせない要素だ。

湖北病院は6階建ての本館を持ち、地域医療の要として機能している。しかし、経営再建の圧力はこの病院にも及んでいる。湖北病院の存続と機能維持は、長浜の医療再編の成否を左右する重要なポイントだ。

市長選の争点に

長浜市長選では、病院再編問題が主要争点として取り上げられた。現職と新人候補が舌戦を繰り広げ、市民は医療の未来を左右する選択を迫られた。「子育て世代への支援」と並んで問われたこの問題は、広範な関心と論点の深さを示している。

市長選の結果、新たな市政がスタートした。新市長は、病院再編問題にどのように取り組むのか。市民の期待と不安が交錯する中、医療再編の行方は不透明だ。

医療構想と地域の未来

厚生労働省から認定された重点支援区域(湖北圏域)地域医療構想は、長浜の医療再編の基本的な考え方となる。この構想に基づき、市立長浜病院と長浜赤十字病院で重複する診療科の再編(集約)が進められている。

病院機能の再編(ABCD)という考え方が示されている。A(高度急性期)、B(急性期)、C(回復期)、D(慢性期)の4つの機能に分類し、それぞれの病院が担う役割を明確化するというものだ。

財政負担と市民サービス

市が基金を取り崩して赤字を補填し続ければ、市民サービスを提供するための予算にも影響しかねない。病院再編は単なる医療問題ではなく、長浜市の財政と将来像を左右する重要なテーマなのだ。

市は、市立2病院の経営再建を優先せざるを得なくなった。そのため、経営形態の選択肢として「地方独立行政法人」か「指定管理者制度」かの議論が再燃している。

雪解けの先に見えるもの

長浜の医療再編問題は、雪解けの時期を迎えている。22億円の赤字という厳しい現実が、市と市民に真剣な選択を迫っている。京大・滋賀医大の要望、市議会の動き、市民の声、市長選の結果——これらが複雑に絡み合いながら、長浜の医療の未来を形作ろうとしている。

病院再編は、単なる経営統合ではない。地域医療の在り方、市民生活の質、市の財政健全性——多岐にわたる要素が絡み合う複雑な問題だ。長浜の冬はまだ終わらない。しかし、雪解けとともに、新たな医療の形が見えてくるかもしれない。

この街の医療の未来を、私たちは見届けなければならない。長浜の病院再編は、単なる地方都市の問題ではない。日本の地域医療が直面する普遍的な課題なのだから。

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今、私たちにできること

長浜の医療再編問題は、まだ結論が出ていない。しかし、市民一人ひとりがこの問題に関心を持ち、議論に参加することが重要だ。市の説明会に参加し、意見を述べ、投票に行く——これらの行動が、長浜の医療の未来を左右する。

今週末、長浜の街を歩いてみてほしい。病院の前を通り、医療従事者の姿を見て、地域住民の生活を思い浮かべてほしい。そして、この街の医療がどのような形で存続していくべきか、一緒に考えてみませんか?

長浜の医療再編は、私たちの手で形作られるのだから。

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