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熱狂の阪神キャンプが育む、宜野座村の新たな絆

熱狂の阪神キャンプが育む、宜野座村の新たな絆

沖縄の風が頬をなめる2月初旬。畑の向こうから聞こえてくるのは、グローブの革音と打球が放つ金属的な響き。阪神タイガース春季キャンプが宜野座村に降り立つと、この人口6000人の小さな村は熱気に包まれます。

キャンプ会場の熱気

「2003年以来20年続く縁ですよ」と語るのは村民ガイドの比嘉さん。朝6時のウォーミングアップ開始前から、スタジアム周辺には既に300人近いファンが列を作ります。取材で出会った大阪から駆けつけた女性ファンは「ブルペンとグラウンドの距離が近くて、選手の息遣いが聞こえるんです」と興奮気味に話します。

その熱気は球場の外にも広がっています。村観光協会が設けた屋台村では、地元食材が存分に楽しめる仕掛けが。評判なのは戦後移民によって沖縄にもたらされた「クーガ芋」を使ったコロッケです。「高級ホテル・ヒラマツの出店メニューも人気で、午後1時には完売することも」(観光協会担当者)。

歴史を紐解けば、この協力関係は決して一方的なものではありません。昨季のリーグ優勝時には村役所で40人以上の村民が応援団を結成。「選手たちが毎年持ち帰る村の特産品が、寮の食卓を彩っているんですよ」と當眞淳村長。村民が自家栽培したシークワーサーがドリンクとして選手に提供されるなど、交流はキャンプ期間を超えて続いています。

今年目玉となっているのはユニークなコラボ企画。村特産の花織を模したキャンプ帽や、選手写真と村の風景を組み合わせた限定ポストカードが登場しています。「グッズ売り場は長蛇の列が途切れません」と地元商店街の店主は笑顔を見せます。

コラボグッズ販売

村の試算では10万人の来場者数が期待されています。キャンプ誘致が始まった2003年当時の4倍に達する数字です。球場から車で10分圏内のホテルは2ヵ月前から予約が殺到。「路線バスの本数を増便したのに、満席状態が続いています」と交通関係者。

あるファミリーレストラン店主の言葉が印象的でした。「阪神戦士たちは村の『季節の風物詩』です。キャンプ期間中の売上げが年間の3割を占めるんですよ」。人口より多い観光客が村にもたらす経済効果は推計5億円に上ると言われています。

グラウンドで白球が舞うその時、選手とファン、村民の間に見えない絆が生まれています。沖縄の太陽をたっぷり浴びた後、球児たちが甲子園へ旅立つまであと3週間。今週末はぜひ、マウンドの砂とシークワーサーの香りが混じる宜野座の春を体感しに来てください。近くのハイビスカス畑で、きっと誰かが「オー!」と掛け声をかけていることでしょう。

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