ウナギが奏でる節分奇譚 アクア・トトぎふの縁起アート
「節分の恵方巻、今年はウナギで決まり!」―こんなキャッチコピーが飛び出しそうな光景が、岐阜県各務原市で展開されているのをご存知だろうか。世界最大級の淡水魚水族館「アクア・トトぎふ」で毎年恒例となっている、ウナギが主役の節分イベントが今年も登場。その名も『福を呼ぶ!ウナギの恵方巻』だ。
ライトに照らされた水槽の中に浮かぶのは、巨大な恵方巻きを模した筒状のオブジェ。その中をスルスルと泳ぎ回るのは、日本の食卓でもお馴染みのニホンウナギだ。思わず「美味しそう」と声が出そうになるが、もちろん食用ではない。これはウナギの生態を巧みに利用した、生きているアート作品なのである。
隠れ家からひょっこり顔
「実はウナギには狭い場所を好む習性があるんです」と語るのは企画広報チームの松浦香佳さん。筒状の恵方巻オブジェはまさに絶好の隠れ家で、ゆっくりと頭を覗かせる姿が「まるで本当の恵方巻から顔を出しているよう」と来場者の笑みを誘う。
長い体をくねらせながら筒の中を行き来する様は、確かに海苔で巻かれた具材のよう。ウナギが持つ「上昇」「長寿」の縁起にあやかり、SNSでは#ウナギの開運パワー のハッシュタグが広がっている。
ウナギと人々の意外な共演
面白いのは来場者たちの反応だ。「ウナギが南南東を向いたらラッキー!」と方角を確認しながら写真を撮る家族連れ、「今年こそ出世しますように」と手を合わせるビジネスマン風の男性まで。あるブロガーは「野鳥観察のついでに寄ったら、思わず30分も見入ってしまった」と書き記している。
畜産学部の学生グループが生態調査に訪れることも。ニホンウナギの生息数減少が問題視される中「こんな身近で観察できるとは」と感動の声を漏らしていた。実際、この展示をきっかけに保護活動への寄付が増加しているというから驚きだ。
岐阜が誇る淡水魚の聖地
世界淡水魚園水族館という名が示す通り、ここは400種以上もの淡水生物を飼育する専門施設。長良川の源流を再現した滝壺水槽や、世界最大の淡水魚ピラルクーなど見所満載だ。地元の小学生が描いたウナギの絵が館内に展示されるなど、地域との繋がりも深い。
期間限定の奇跡
「え?食べられないの?」と残念がる声もあるが、それだけリアルな仕上がり。実は製作には水族館スタッフの匠の技が光る。筒の大きさはウナギが自由に動けるよう計算され、水流も自然な動きを引き出すよう調整されている。
このユニークな展示は2月8日まで。節分の日である2月3日には特別イベントとして、ウナギの餌付け体験や生態解説が行われる予定だ。古来より日本人に愛されてきたウナギの新たな魅力が、ここ各務原市で発信されている。
寒さ厳しい季節だからこそ、縁起物のウナギに開運パワーを分けてもらってはいかがだろうか。思わず二度見する奇妙さと愛嬌が、きっと心を温めてくれるはずだ。