若者たちが発見!伊仙町の新たな物語
徳之島の西に位置する伊仙町──青い海、緑のさとうきび畑、そして紺碧の空。 あなたはこの島でしか味わえない「何か」を探したことはありますか?
ここで見つけたのは、驚くべきことに十代の若者たちの瑞々しいまなざしだった。徳之島高校生が開発した黒糖菓子「琥珀島」のパッケージに描かれた波模様──実は犬田布岬(いぬたぶみさき)の荒波をイメージしていたことを知る人は少ない。生産者の矢野花音さん(17)はこう語る。「毎日通る岬の景色が突然『宝物』に見えたんです」
一方、島外から訪れた追手門学院大学の学生たちは別の発見をしていた。動画制作で訪れた髙森望さん(21)のカメラが捉えたのは、ジャガイモ畑で働く70歳農家の手のひら。しわの中に詰まった土の粒子を「黄金の皺」と表現したテロップがインスタグラムで話題を呼んだ。
「島のすべてが博物館だって気づいた瞬間でした」
この言葉は、まさに若者ならではの視点。徳之島高校のJAL連携プロジェクト責任者・山本教諭が明かす。「実は生徒たちの75%が『伊仙町に観光資源なんてない』と最初は言っていました」。彼らを変えたのは「島外の反応」。大阪からの修学旅行生が「コンビニが3軒しかない!」と感激する姿に、当たり前の日常が特別だと気付いたという。
動画制作で重要なのは「5感の再現」だと語るのは吉田佳世准教授。ゼミ生たちは伊仙町滞在中、84時間で27か所を取材。特産のアオサそうめんを食べるシーンでは、すする音をピンマイクで収録した。「音が記憶を呼び起こすんです。70代女性視聴者から『子どもの頃を思い出した』という手紙が届きました」
数字が物語る効果も大きい。プロジェクト開始後、伊仙町の20代訪問者が前年比32%増。動画再生数は累計18万回を突破。中でも反響を呼んだのが、地元の少年がサトウキビ畑で演奏する三線の動画だ。音大志望の上村龍之介くん(16)は照れくさそうに話す。「祖父が耕した畑で弾くと、音色が違うんです」
徳之島の闘牛文化を「目と目の会話」と表現した高校生。漁港の夜明けを「海が息を吹き返す時間」と記した大学生。彼らの言葉が紡ぐ物語は、公式観光ガイドには載らない町の素顔だ。
さて、あなたも今週末、伊仙町で「気づかなかった宝物」を探してみては?学生たちが教えてくれた見取り図を片手に、島の路地を歩けば──風景の向こうに、新しい物語が見えてくるはずだ。
※道案内は犬田布岬の風と、さとうきび畑のささやきがしてくれますよ。