column

泉崎の森に咲く国際アート カントリーヴィレッジ彫刻展の秋

泉崎の森に咲く国際アート カントリーヴィレッジ彫刻展の秋

紅葉に染まる福島の山あいで、忽然と現れる異空間がある。 泉崎カントリーヴィレッジ――総面積10万坪の広大な敷地に佇むリゾート施設で、今まさに石と鉄が生む国際芸術祭が静かな革命を起こしている。

施設外観

田園とモダンアートの化学反応

「まさかこんな田舎で世界レベルの彫刻が見られるなんて」 開幕初日に訪れた県外客が呟いた言葉が、この展覧会の本質を突いている。人口わずか2500人の泉崎村が、なぜイタリア、コロンビア、韓国、台湾など7カ国25作家の彫刻展を開催できたのか。鍵は「逆転の発想」にあった。

「都会と地方の関係性を再定義したかった」と主催者。5ヶ月の長期開催、入場無料、温泉施設との融合という三位一体の仕掛けが、世界的作家たちの共感を呼んだ。中でもコロンビア人作家グループの参加は、海外ブログで「福島の復興力に触れたくて応募した」と記されている。

石の詩人たちの競演

展示のハイライトは何と言っても石造形のバラエティだ。安部大雅氏の流動的な花崗岩作品、尾崎慎氏の幾何学的な緊張感、田中毅氏の有機的なフォルムが、同じ石材ながら全く異なる表情を見せる。

韓国人作家キム・ソヨン氏のステンレス彫刻が森の光を反射し、イタリア人作家マルコ・ロッシのブロンズ像が温泉の湯気に溶け込む。ブロガーが「台風後の森に現れた未来遺跡のよう」と表現した展示空間は、まさに自然と人工の共生実験場だ。

「アートのまち」の胎動

地元住民にとっては驚きの連続だった。 「最初は『こんな立派なものが村に?』と半信半疑でしたが」と語るのは、施設スタッフの佐藤さん。「今では近所の主婦たちが『今日はどこの国の作品を見に行く?』と会話するのが日常になりました」

その変化を象徴するのが月例の「出張そばイベント」だ。国際展開催後は来場者が3割増加し、「アートを見てから食べるそばは格別」という新たな村の文化が生まれている。12月号の村広報誌には「待ってたよ!」「美味しかった!」という声が多数寄せられたという。

展示室内の様子

五感で楽しむ芸術体験

最大の特徴は「鑑賞プラスα」の充実度だ。作家の湯川隆氏がインスタグラムで「温泉とセットでどうぞ」と発信した通り、源泉かけ流しの露天風呂に浸かりながら作品を回想する至福の時間が訪れる。

「散策→鑑賞→入浴→郷土料理」という自然な流れが生む、都市の美術館とは異なる体験価値。参加作家の一人が「作品が環境と対話している」と語ったように、紅葉から雪化粧へ変わる季節の移ろいが、展示空間そのものを日々更新していく。

風評を超える実感の場

ある台湾人観光客の言葉が胸に刺さる。 「地元の方に『福島は大丈夫ですか?』と聞いたら、『まずは自分の目で確かめて』と笑顔で返されました」

確かにここには、国際展と銘打ちながらも押し付けがましさが一切ない。コロンビア人作家のブログにある「風評なんて吹き飛ばせ!」という言葉通り、石の温もりと人の笑顔が、言葉いらない説得力を持っている。

森と彫刻の調和

2025年3月末まで続くこの展覧会は、文字通りの「生きている展示」だ。10月の紅葉の季節、1月の雪化粧、3月の芽吹きの頃――それぞれの顔を持つ森が彫刻たちと新たな対話を繰り返す。

あなたも週末、彫刻との出会いを求めて泉崎の森へ分け入ってみないか。5ヶ月の会期は、じつに贅沢なまでの「ゆっくり考える時間」を我々に提供してくれるのだから。

この地域のビジネスデータを見る

📍 泉崎村の開業ガイドへ