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高砂の新たな風!卵専門店が挑むふわとろ明石焼き

高砂の新たな風!卵専門店が挑むふわとろ明石焼き

駅前商店街を歩くと、ほのかに醤油の香りが漂ってくる。 高砂市の日常に、忽然と現れた黄色い看板──。 「yellow yellow(イエローイエロー)」。 かつて喫茶店があった中島の一角で、2026年1月24日、卵の専門店が明石焼きに挑む新店舗が幕を開けた。

店舗外観

『奥丹波の養鶏場直営』を看板に掲げる「yellow」シリーズ3号店の誕生は、地元グルメシーンに小さな革命をもたらしている。 店主の籠谷氏が語るこだわりは鮮烈だった。 「厳選した平飼い卵を”生きているうちに”調理する。籠から出して30分経った卵では、あのふんわり感は出せません」

カウンター越しに職人の手元を覗けば、黄金色の生地が湯気を立てる。 直径6cmほどの鉄板の窪みに、生地を流し込み、具材をのせる。 約180度の鉄板で表面が固まるまで90秒──。 「型から外すタイミングが命です。早すぎれば崩れるし、遅すぎれば硬くなる」

明石焼きの調理風景

地元住民の間で評判なのは「4種類の出汁競演」。 昆布・鰹節・鯖節・煮干しで取った合わせ出汁が、卵の濃厚さを引き立てる。 オープン初日に訪れた60代女性は「出汁の奥行きが違う」と驚きを隠さない。 「明石まで行かずとも、このクオリティが味わえるなんて」

背景には意外なドラマがあった。 元々ジェラート専門店としてスタートした「yellow」だが、コロナ禍でテイクアウト需要が急増。 「卵そのものの販売が好評で、卵料理の可能性に気づいた」と籠谷氏は振り返る。 養鶏場を持つ強みを活かし、地殻変動的なメニュー開発が始まったのだ。

高砂駅前の不動産会社が明かす数字が興味深い。 「中島地区の空き店舗率は過去5年で最高だったが、昨秋から飲食店の問い合わせが3倍に増加」 老舗文具店主の証言も印象的だ。 「イエローイエローのオープン後、20代カップルの通行量が目に見えて増えた」

店内の様子

メニューの秘密兵器は「たまごかけご飯セット」。 賞味期限24時間の極上卵を、炊き立て米の上で割る儀式的な体験がSNSで話題を呼んでいる。 県外から訪れた30代男性は「黄身の色の濃さが衝撃的」とカメラを構える。

決定的な瞬間は、明石焼きを出汁に浸す一瞬にある。 箸でつまんだ玉が器用に出汁カップに滑り込む。 「あえて小さ目のカップにしたのは、一枚ずつ味わいをリセットするため」 常連客の言葉が全てを物語る。 「苦しいニュースが続く中で、このお店の黄色い看板が心のビタミンになってるんです」

2018年の調査では高砂市の外食市場規模は県内11位だったが、専門店の集積が新たな潮流を作りつつある。 文化人類学者の岡本氏が分析する。 「地場産業と食文化の融合が地域アイデンティティを強化している好例です」

風に揺れる黄色い暖簾が、次の客を待っている。 ごはんと卵しか使わないシンプルな料理だからこそ、素材の真価が問われる。 「地元の卵で地元を元気に」 籠谷氏の言葉が、鉄板の上で弾ける油の音に重なる。

時計の針は午後3時を回った。 カウンター越しに差し込む陽光が、卵焼き器を黄金色に染める。 今週末は、播磨の新しい食文化が生まれる現場へ。 ふわっとした温もりを求めて、中島の路地を曲がってみては。

※ランチタイムは12:00-14:00が混雑のピーク。テイクアウトレジの行列は10分程度で解消する傾向

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