四季折々の森の物語 グリーンピア八女で感じる癒しの時間
緑に包まれた場所で、あなたは最後に深呼吸をしたのはいつですか? 山あいの風が頬を撫で、木々のささやきが耳元で紡ぐ八女の森――ここはただのレジャー施設ではない。平成20年に福岡県初の「森林セラピー基地」に認定された特別な場所なのだ。
黒木町の山あいに広がるグリーンピア八女は、1986年のオープン当時は年間19万人を超える人々が訪れた。だが現在、かつての65%ほどの来客数に減少しているという現実がある(地域再生計画より)。国から町への移管を機に、この場所は新たな道を歩み始めた。
八女市の観光協会関係者が語る。 "過疎化が進む地域で、グリーンピアは希望の灯なんです。地元産のやわらか黒毛和牛を使ったBBQや、冬限定のずわい蟹食べ放題プランなど、他にはない体験で多くの方に足を運んでいただきたい"
確かに季節ごとの変容が見事だ。春にはブログ「たかこブログ」が記すように、森の池には無数の黒い粒が浮かぶ。 "う、この黒いのも全部。おたまじゃくし〜"と子どもたちが目を輝かせる季節。新緑の中、家族がかくれんぼに興じる姿がほほえましい。
夏は西日本で有数のレジャープールが主役になる。年間100万人以上が訪れる福岡県内の他のプールと比べ、ここは圧倒的な広さが特徴だ。子育て情報サイト「kurumefan」が絶賛する "スライダーも比較的緩やかで、幼稚園から小学校低学年の子連れに最適。コロナ禍でも余裕を持って楽しめました"
紅葉シーズンには多くのフォトグラファーが訪れるスポットに変貌する。11月には市が主催する「もみじ祭り」が開催され、夜間ライトアップされた楓のトンネルが幻想的な世界を演出する。 そして忘れてはならないのが温泉。地下1600mから湧き出るアルカリ性単純温泉は、運動後の筋肉疲労を和らげるのに最適だ。
森の効果は科学的にも証明されている。フィトンチッドという樹木が発散する物質がストレスホルモンを抑制し、自律神経を整える機能を持つ。実際に施設を訪れた家族連れからは "都会の騒音から解放されて、子どもの笑顔が一段と輝いて見えた"(30代女性) との声も多い。
今、グリーンピア八女は新たな挑戦を続けている。「第5次八女市総合計画」では「関係人口を創出するまち」を目標に掲げ、地元特産品を使ったBBQ企画や伝統工芸体験、コテージでのバーベキュープランなど、多様なプロジェクトを展開中だ。
週末の朝、森の入り口で地元のおばあちゃんが笑顔で差し入れてくれる八女茶の香り。子供たちが夢中で追いかけるトンボの群れ。便利さや効率とは無縁の時間が、ここには確かにある。
癒しを求める都会人も、地域再生を願う地元住民も、同じ森の香りを胸に刻む。季節が変われば、また新たな表情を見せるこの森へ――今週末はハイキングシューズを履いて、八女の森の秘密を探しに出かけませんか?