多度津町が挑む!AIが紡ぐ誰もが自由な移動革命
香川県多度津町の駅前通り。車椅子の高齢者がバス停の時刻表をじっと見つめている。 「次のバスは2時間後か...」深く溜息をつく姿に、この町の隠れた課題が見える。四国初の鉄道が走った「鉄道の町」が今、新たな移動革命に挑んでいる。
高齢化率32.4%が突きつける現実
「免許返納したら籠りっきりになった」と語るのは町内会長の北川さん(78)。多度津町の高齢化率は全国平均を上回る32.4%。移動手段を失うことで、町の大切な繋がりまで失われつつある。過去に試みた福祉タクシーは運転手不足で頓挫。コミュニティバスは空車率50%超という現実が重くのしかかっていた。
住民発案のAIデマンド交通
転機は「多度津町自分ごと化会議」で訪れた。「待つ交通から呼ぶ交通へ」と主婦の田中さん(42)が提案したデマンド型交通構想が具体化。AIがリアルタイムで相乗りルートを最適化する「たどつmobi」が令和7年度から実証実験を開始。
「まるで自家用車のような自由度」と開発担当者。アプリか電話1本で自宅前まで迎えに来るシステムで、運賃は1回300円(高齢者・障害者は半額)。試乗会では90歳の参加者が「病院通いが苦じゃなくなった」と感激の声を寄せた。
観光と生活を繋ぐ新たな足
「海が見えるカフェで差し入れしたら、運転手さんがおすすめ散歩道を教えてくれた」と関西から訪れた観光客。鉄道遺産や桃陵公園の桜など観光スポットを巡るモニターツアーでは、参加者の94%が「再訪したい」と回答。交通網が観光と地域生活を有機的に結び始めている。
移動が生む新しい絆
最も意外な効果は「乗り合わせた住民同士の会話が生まれること」(町職員・山本氏)。買い物支援だけでなく、移動そのものをコミュニティ再生の場に変える試み。今後はID連携で図書館の本貸出履歴からおすすめ本を車内で紹介するサービスも検討中という。
小さな町の大きな挑戦
明治22年に四国初の鉄道が走ったこの町が、令和の時代に新たな交通文化を創ろうとしている。春には桃陵公園の桜を「たどつmobi」で巡るのが新しい風物詩になるかもしれない。交通弱者と呼ばれる人々の笑顔が、この町の未来を明るく照らしている。
「移動の自由は生きる喜び」多度津町の挑戦は、日本の地域が抱える課題解決の曙光だ。あなたもこの春、AIが紡ぐ新しい旅路を体験してみては?