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過疎に“にぎわい”を 美波町の挑戦

過疎に“にぎわい”を 美波町の挑戦

過疎──。その言葉からは、静けさに包まれた田舎、空き家が目立ち、若者の姿はまばらな風景が浮かぶ。しかし、徳島県美波町では、その常識が今、音を立てて崩れつつある。

「にぎやかな過疎」。一見、矛盾したこのキャッチフレーズを掲げ、同町が「SDGs推進サミット2025」を開催した。過疎地に、なぜ、どうやって「にぎわい」が生まれるのか。その秘密に、追加取材で迫った。

光ファイバーが紡いだ「関係人口」の絆

美波町の挑戦の核は、『特別な何かに頼らない』という点にある。特筆すべきは、テレビの地上デジタル化に先駆けて町内に張り巡らせた光ファイバー網だ。この当時の投資が、今、大きく実を結んでいる。高速通信環境が整ったことで、都市部の企業が「サテライトオフィス」を開設しやすくなった。県内最多の進出数を誇るという。

影治信良町長へのインタビュー風景

株式会社あわえの吉田基晴氏が、影治信良町長に「成功の要因」を尋ねた際、町長はこう答えたという。「住民票がなくとも、この町で生活し、働き、祭りに参加する人々を『関係人口』として、温かく迎え入れる体制をまず作った」。それが「にぎやかそ(にぎやかな過疎)」の町民憲章にも結実している。户口(こっこ)にとらわれない──。この発想の転換が、人口減少社会におけるまちづくりの新たなモデルを示している。

子どもがつなぐ、 growing「デュアルスクール」

都会からの移住者と並んで、注目されるのが「デュアルスクール制度」だ。学童が都市部の学校と美波町の学校を交互に通い、季節ごとに異なる環境で学ぶ。これは単なる「体験学習」ではない。地域の小学生が、目の前の海や山で獲れた「森の炭、里の鶏、海の塩」を五感で味わい、地域産業を身近に感じるプログラム「みなみにぎやかそジョブチャレンジ!」と連動している。

美波SDGsリビングラボのポータルサイト画面

“過疎”の町が、実は教育の「実験場」になっているのだ。未来を担う子どもたちが、地域の資源と深く触れ合うことで、自然と「この町が好き」という愛着が育まれる。移住者家族にとっては、子どもの教育環境が大きな選択理由となる。まさに一石二鳥の持続可能なモデルだ。

藻場再生が生む、循環の「にぎわい」

美波町の海は、豊かな漁業の恵みをもたらすが、近年は藻場の減少が課題だった。ここで注目されたのが、サミットでも議論された「藻場再生プロジェクト」だ。地元漁業者、NPO、企業、行政が連携し、海の生态系を蘇らせる。この取り組みは、環境 restoration(再生)だけでなく、新しい「仕事」を生み出している。

美波町の海や山の資源を活かした活動

「うみがめの森再生プロジェクト」などのユニークなネーミングは、地域資源を「资産」として捉え、それを活性化するビジネスチャンスと見ている証左だ。環境問題解決と地域経済の好循環──これこそが、SDGsの本質的な実践と言える。

「にぎやかそ」宣言から見える未来

美波町は、令和4年に内閣府から「SDGs未来都市」に選定された。その根底にあるのは、「人口減少は避けられない現実だが、それと“にぎわい”は必ずしも対立しない」という確信だ。全国町村会のレポートでも、美波町の手法は「特別な何かに頼らない地域振興」として紹介され、光ファイバー整備と políticas(政策)の先駆性が評価されている。

美波SDGsリビングラボ ポータルサイト

さらに、サミットは単なる「報告会」ではない。町内企業・団体や他自治体との“連携促進”を目的とする。つまり、「にぎやかそ」は、美波町だけの物語ではなく、全国の過疎地が共有できる“羅針盤”として機能し始めているのだ。

「過疎」という言葉の重荷をはずす

「過疎」という言葉には、どうしてもネガティブなイメージが付きまとう。しかし、美波町は、その言葉を逆手に取った。「過疎」であるがゆえに、既存の仕組みに縛られず、新しい試みがしやすい──。その柔軟性こそが最大の強みになった。

実際、町を訪れると、空き家を改修したカフェ、若い移住者が営む bakery、古民家を活用したコミュニティスペースが点在し、通りには行き交う人々の笑い声が絶えない。祭りには、地元住民と「関係人口」が混ざり合い、一体感が生まれる。これが「にぎやかな過疎」の実態だ。

さあ、あなたも「にぎやかそ」の仲間に

美波町の取り組みは、完璧なfinal solution(最終解答)ではない。試行錯誤の連続だ。しかし、そこには「地域の資源を、地域の理(ことわり)で活かす」という、シンプルでいて深い哲学が流动资金(流動)している。

今週末、あるいは次の連休、徳島県美波町を訪れてみてはどうか。日和佐地区の門前町を散策し、海沿いの藻場を見晴らす。おashi(足)がかりに、まずは美波町SDGsリビングラボのポータルサイトを覗いてみるのも一つの手だ。

美波町が「SDGs未来都市」に選定

「にぎやかな過疎」は、静かなる革命だ。それは、人口減少という”問題“を、むしろ”機会“へと変える、地域の智慧の結晶。美波町の町民憲章に刻まれた「にぎやかそ」の精神は、これからの日本のいたる所で、共鳴し始めるに違いない。

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