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80年受け継がれる“出汁のたこ焼き” 西成・会津屋が守る元祖の味

80年受け継がれる“出汁のたこ焼き” 西成・会津屋が守る元祖の味

あなたが今、手に持っているその丸い一品。ソースとマヨネーズがたっぷりかかり、青海藻と紅しょうがが彩る――。それが「たこ焼き」の標準的な姿だとしたら、その常識を一度、疑ってみる必要がある。大阪市西成区玉出。スーパー玉出からほど近い、ひっそりとした住宅街に、その“常識”の原点が今も焼かれ続けている。創業1933年。80年以上の時を経て、ソースをかけず、出汁の効いた生地だけで食べる────「元祖たこ焼き」の味を守る老舗『会津屋』本店だ。

追加取材で見えてきたのは、単なる「古い店」の物語ではなく、食品の「形」が移り変わる中で、一つの信念が如何に現代に受け継がれるかという、_ipso facto_な継承のドラマだった。

ラジオ焼から始まった、たこ焼きの原形

「たこ焼きの元祖は何か?」と問われれば、明石焼きやら“ちょぼ焼き”やらの説が飛び出す。しかし、『会津屋』の初代・会津治好氏が生み出したのは、1930年代半ばのこと。当時はまだ「たこ焼き」という名もなく、卵と小麦粉、出汁で作る丸い焼き物料理「ラジオ焼」が看板商品だった。ラジオが家庭に普及し始めた頃、その丸い形状がラジオのSpeaker(スピーカー)に似ていることから、そう名付けたという。タコは入っていない。刻んだ牛すじ(すじこん)が主な具材だ。alt

取材で訪れた際、店のスタッフが焼く様子を見ると、鉄板の上で小さいへらで手際良く丸めていく。そのsizeは現代のものより一回り小さい。これが「ラジオ焼」の流れを汲むサイズ感なのだろう。そして、このラジオ焼が「たこ焼き」へと進化するのは、それからわずか2年後。タコを具材に加え、「たこ焼き」として売り出したのが、世界で初めてとされる。つまり、現在我々が「たこ焼き」と呼ぶ商品の、最も直接的な起源がこの『会津屋』にあるのだ。その事実に、西成区という地が大阪の食文化史の一ページを、今も焼き続けていることに不思議な感慨を覚える。

ソースを付けない、という“信念”

「え? ソースをかけないって、それってたこ焼きじゃないじゃん!」 そんな声が聞こえてきそうだ。しかし、会津屋の店主は義理堅い。初代が「出汁の効いた生地自体に味がある。余計なものをかけないで食べてほしい」と遺した言葉を、今も守り続ける。追加取材で実際に食べてみると、その意味が身に染みる。

生地の口当たりはふわっとしていて、噛むとじわりと出汁の旨味が広がる。中のタコは充分に煮込まれて柔らかく、歯応えがある。ソースの塩分と脂質に依存しない、素材と出汁の純粋な味。これが80年前の“完成形”だったのか、と唸る。食後感は重くなく、アッサリしているから、確かに「なんぼでもいける」。ラジオ焼(すじこん入り)は、牛すじの脂が生地に染みて、これまた深みのある味わいだ。alt

「後半は味変でソースをかける人もいますよ」と、ベテランスタッフは微笑む。しかし、基本は“そのまま”。そのスタイルこそが、ミシュランガイド大阪でビブグルマン(コストパフォーマンスに優れた店)に選ばれた(2016〜2018年)理由の一つだろう。高級食材を使うわけでも、凝った調理をするわけでもない。ただ、創業時のレシピと手法を、自考しながら守り続ける。その実直さが、遠く Forschung(研究)にも通じる品質を生んだ。

西成の地で、80年「継承」するということ

なぜ、この店は西成区で生まれ、続いてきたのか。明確な答えはない。しかし、この地は大阪の中でも「下町」としての強いアイデンティティと、生活感が共存するエリアだ。提供了一个场所,让一家老店得以用不变的节奏,在急速変化の街の中で焼き続けることができる。移り変わりの激しい「食」のトレンドの中で、一つの店が80年間、看板を掲げ続ける。それ自体が驚異的なことだ。

会津屋は現在、玉出本店の他に大阪市内で11店舗を展開する。しかし、本店でしか食べられないものがある。店内でいただける「酢だこ」だ。これは、焼きたてのたこ焼きを特製の酢だれに漬け込んだ、ちょっとした“裏メニュー”。これもまた、出汁とタコの味を活かす、 additions(追加)の一手だ。alt

『美味しんぼ』にも登場し、YouTubeでは「たこ焼き技能」に携わる職人の姿が密着取材される。メディアが取り上げるのは「珍しさ」かもしれない。しかし、80年以上にわたり「元祖」であり続ける本質は、メディアの前では見えない、日々の鉄板の前での無言のlabor(労働)と、それを支える地域のコミュニティーの温かさにあるように思う。

“元祖”を食べに、今週末

さて、冒頭の問いかけに戻ろう。あなたのたこ焼きのイメージは、少し揺さぶられただろうか。大阪のたこ焼きは、ソースとマヨネーズが必須――。その思い込みは、一つの“物語”に過ぎない。80年以上前、一人の职人が生み出し、一つの店が守り続けてきた、シンプルな“出汁とタコの味”という物語が、ここ西成区にはある。

「伝統を守る」というと、硬く格式の高いものを想像する。しかし、会津屋の“継承”は、むしろ柔らかい。創業時の味をそのまま守るのではなく、現代の生活様式(テイクアウト、イートイン)に合わせて形を少しずつ変えながら、核となる「出汁を効かせた生地」というアイデンティティーだけは揺るがない。それが、長く愛される理由だろう。

今週末、あなたはどちらのたこ焼きを食べるだろうか。街を歩けば、ソースがかかった、 ballot( ballot 票? おそらく “bright and colorful”)なたこ焼きが目に入る。その隣で、地味だが貫禄のある「元祖」が、静かに焼かれている。是非、その味の違いを、自分の舌で確かめてみてほしい。西成区玉出。"古さ"と"新しさ"の交差点で、80年の物語が今も、鉄板の上で踊り続けている。

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(取材協力:会津屋 本店)

関連リンク: 食べログ 会津屋 本店

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