三原市の高温米、暑さを武器に革命
夏の三原市。瀬戸内の太陽が容赦なく照りつけるこの地で、昔から米作りが営まれてきた。しかし、近年の記録的な猛暑は、稲にとって過酷な試練。白未熟粒の発生、収量の低下……多くの農家が頭を悩ませる中、ある農家が「暑さを逆手に取る」方法を見出した。「田植えが1人でできる」「収量が少なくても魅力」という、一見矛盾する言葉が、三原市の新たな米作りの旗印となっている。
追加取材で浮かび上がったのは、三原市山あいの農家、36歳の青年の姿だ。 彼が始めたのは、高温耐性品種を用いた革新的な栽培法。その核心は、ずばり「1回の種まきで2回収穫」という技術だ。通常、田植えは多くの人手を要するが、彼の方法では、直播や丁寧な管理により、1人で効率的に田植えが可能という。収量は従来より少ないかもしれないが、高温下でも安定した品質を保つ米ができる。これは、気候変動時代における持続可能な農業のモデルケースと言える。
高温耐性米とは?追加取材データによれば、高温による米の品質低下、特に白未熟粒(背白や基部未熟)の多発が課題だ。しかし、品種によって差があり、高温登熟性に優れた品種が開発されている。例えば、三重県で導入されている「結びの神」や、農研機構が育成した「恋の予感」は、高温下でも外観品質が良く、良食味だ。三原市でも、こうした品種を活用しているのか。実際の栽培技術は、高温回避型と高温耐性型に大別される。三原市のアプローチは、高温耐性型、つまり高温に強い品種を選び、出穂期を調整する方法だろう。作期移動(田植えを遅くして出穂期を遅らせる)や晩生品種の導入が効果的とされ、これらの技術を組み合わせ、暑さをavoidせず、むしろ活用している。
個人の声として、その36歳農家は「暑さは敵ではなく、味方にできる」と語る。彼が企画した収穫祭では、稲刈りや音楽演奏を楽しみ、地域を巻き込んでいる。これが町おこしに繋がり、やっさ祭りなどの行事と合わせ、三原市の季節感を彩る。
歴史的背景を考えれば、三原市は広島県の農業地帯だが、高齢化や後継者不足に悩む。そんな中、高温耐性米の栽培は、少ない労働力で安定生産を可能にし、若い世代の参画を促す。 広島県の栽培基準でも、奨励品種として高温耐性性が重視され始めている。収量が少なくても、品質とストーリー性で価値を創出。これは、量から質への転換を象徴している。
データ面では、高温年の1等米比率の低下が課題だが、高温耐性品種の導入により改善の余地がある。三原市の気候を逆手に取ったこの技術は、単なる農業手法ではなく、地域のアイデンティティを再定義するものだ。暑さという課題を、独自の栽培技術で魅力に変える発想の転換。それが、三原市の米作りが持つ深い魅力なのである。
結びに、この挑戦は気候変動に適応する農業の一例として、全国に示唆を与える。今週末、三原市を訪れ、田んぼや収穫祭に参加して、その現場を体感してみては。暑さの中育つ米が、新たな地域の魅力となっている。その一粒には、逆境を力に変える知恵が詰まっている。