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紅型に溶け込む、やんばるの猫の日常

紅型に溶け込む、やんばるの猫の日常

大宜味村の喜如嘉翔学校に足を踏み入れると、赤瓦の屋根と木造の校舎がどこか懐かしい。そこに広がっていたのは、伝統工芸『紅型』と、どこか気ままな『ネコ』が織りなす意外な世界だった。柱で爪を研ぐネコ、花ブロックの上を散歩するネコ——紅型の布地に、沖縄の日常風景にすっかり溶け込んだ猫たちの姿が描かれている。一体誰が、怎样的なインスピレーションでこの組み合わせを生み出したのか。

この展覧会の作者は、国頭村出身の紅型作家・大城徳男さんだ。さらに追加取材で見つかったFacebookの動画には、山原工藝店で絵筆を走らせる大城さんの姿が収められている。迷いなく、一気に描きあげる。その手捌きは、長年の修練を物語る。大城さんは、沖縄・やんばるの生き物をモチーフにした作品を数多く手がけており、海の生き物、山の生き物と、身近な自然を紅型で表現してきた。今回は、その対象が猫になった。

沖縄の伝統工芸『紅型』とは、木綿や絹に型を置き、染料で染める『型染め』の技術だ。琉球王国時代に中国や台湾との交易を通じて伝わり、王朝の彩色工房で発展したとされる。特有の鮮やかな発色と、型で防染した白い部分のコントラストが特徴だ。大宜味村は、沖縄県内で最も紅型の生産量が多い自治体として知られる(※1)。その土地で、現代的なテーマである「ネコ」を組み合わせるとは——。

柱で爪を研ぐ猫の紅型作品 展示作品は、細部まで緻密だ。猫が爪を研ぐ柱——それは、沖縄の民家によくある、無造作に置かれた木柱そのものだ。花ブロック(沖縄の石垣によく見られる装飾的なコンクリートブロック)を背に振り返る猫。まるで、この土地で但实际上に暮らしている猫の一瞬を切り取ったかのようだ。紅型の技術で、猫の柔らかな毛並みや、伸びをするしなやかな体つきまで表現している。葉っぱの影や、石の質感も、染料の階調で丁寧に描かれている。

花ブロックの上にいる猫の紅型作品 なぜ、猫なのか。大城さんは自身の創作の原点に「日常の観察」を挙げる。やんばるの里を歩けば、どこかで猫が寝そべり、じゃれ合い、縁側で人間を見つめている。その何気ない姿が、紅型という伝統工芸の布地に載ることで、新たな命を吹き込まれる。これは、単なる「猫好き」の作品ではない。沖縄の風景と深く結びついた「現代の風物詩」としての紅型なのだ。

地元・大宜味村で開催されるこの展覧会には、地域を超えた多くの人が訪れている。伝統工芸は、 Sometimes 硬直化しがちだ。しかし、紅型に猫を描くという意外性は、若い世代や海外の travel者 にも「見慣れたモチーフ」を通じて紅型自体の美しさに気づかせる、絶好の入り口になっている。

会場の喜如嘉翔学校は、普段は让孩子们が学ぶ場所だ。その教室が、伝統と現代が交わるギャラリーへと変貌する。壁には、海の生き物(魚やクラゲ)や山の生き物(カエルやトカゲ)をモチーフにした大城さんの過去作も並ぶ。それらと猫作品が並ぶことで、大城さんが一貫して「やんばるの生き物」を描き続けていることも見えてくる。猫もまた、やんばるの生態系の一部なのだ。

大宜味村村章 大宜味村は、過疎化と高齢化という課題を抱えながらも、地域資源を活かしたまちおこしに力を入れている。紅型はその重要な文化財産だ。このコラボ展は、吉本興業や企業との連携(※1)もあり、地域の Bridges を築く一端ともなっている。猫という普遍的テーマが、地域の誇りを再確認させ、新たな交流を生み出す——。

会場外観・ポスター 「猫の日常を紅型で描く」という一見軽やかなテーマは、実に奥深い。それは、沖縄の気候风土(高温多湿、強い紫外線)の中で発達した染め技術の確かさ、型を使った精密な表現、そして、何より大城さんが長年培ってきた「自然へのまなざし」がなければ実現しない。一枚の布に、猫の気まぐれな動きと、沖縄の確かな歴史が同時に宿る。

会場では、大城さんが実際に制作する様子を収めた動画も放映されている(※2)。迷いなく筆を走らせるその姿には、技術への絶対的な自信がある。それは、紅型という伝統を「守る」だけでなく「使い続ける」という、生き生きとした姿勢の表れだ。

今週末、大宜味村を訪れるなら、ぜひ喜如嘉翔学校へ足を延ばしてほしい。赤瓦の校舎の中で、猫たちが紅型の布地で伸びをしている。その情景は、沖縄の伝統が、決して過去の遺物ではなく、今も呼吸していることを静かに語っていた。

(※1)元ネタニュース1:「沖縄県大宜味村 × 吉本興業 × アイケイ 県内No.1の生産量」 (※2)Facebook動画「山原工藝店で猫ペイント中の大城徳男さん」

※展覧会期間:2026年3月19日〜23日、10:00〜17:00(会場:大宜味村 喜如嘉翔学校)

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