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秘境の湯が宿でよみがえる!接岨峡温泉会館再生が照らす川根本町の未来

秘境の湯が宿でよみがえる!接岨峡温泉会館再生が照らす川根本町の未来

静岡県の山奥、大井川の渓谷に佇む接岨峡。紅葉が燃える秋、渓流に面した一軒の温泉施設が、長い時を経て静かに息を吹き返そうとしている。かつて日帰り温泉として地元の人々に愛された『接岨峡温泉会館』が、今、宿泊機能を備えて生まれ変わる——その裏側には、中山間地域の観光課題を解決する、 Bold な挑戦があった。

とろっとろの『若返りの湯』が、宿泊という新たな価値に

接岨峡温泉は、全国的にも希少なナトリウム炭酸水素塩冷鉱泉。クチコミでは『とろっとろのお湯』『誰もいないお風呂で至福のため息』と、その泉質の素晴らしさが語られる。接岨峡温泉会館の外観

しかし、温泉会館は長らく日帰り利用が中心。観光客は SL 大井川鐵道で千頭駅へ、そこからバスやマイカーで寸又峡への途中に立ち寄るだけだった。『このあたりには飲食店が几乎没有ので、ここは貴重です』——あるクチコミが、地域のインフラ課題を突いている。観光は『通過』され、地域に収入をもたらす『滞在』が生まれにくい構造。川根本町の第2期観光戦略プラン(2023-2027)が目指す『新緑・紅葉・大井川、お茶と温泉・SLのまち』実現には、宿泊拠点の不足が大きな障壁となっていた。

そこに登場したのが、ベンチャーキャピタル系の SOZONEXT だ。老舗温泉会館と異業種コラボ——これが seasonal な温泉観光に break をもたらす。SOZONEXT は運営管理、老舗施工会社の西東が施設管理を担い、2025年から宿泊提供を開始。『宿泊』という新たな価値を加えることで、日帰り客を『泊まり客』に転換し、地域経済の血流を作り出す。

秘境ゆえの課題、ICT と地域連携で解決

接岨峡は『秘境』と呼ばれる。大型バスは入れず、環境は守られてきたが、集客は難しかった。しかし、再生プロジェクトは OTA(オンライン・トラベル・エージェンシー)を活用し、全国から直接予約を獲得。『秘境』であることを逆手に、デジタルマーケティングでニッチな市場にアプローチする。

また、地域の足回りも課題だ。2024年には寸又峡温泉近くで落石事故が発生し、早期復旧にふるさと納税が活用された。こうしたインフラ脆弱性は、中山間地域の共通課題。再生プロジェクトは、宿泊客が安全にアクセスできる環境整備と連動し、町全体の観光基盤強化に貢献する。

実際に泊まった人の声は、その変化を物語る。『温泉は相変わらずとろっとろ。食事は蕎麦やカレーがあり、山奥でこんなに充実していいのかと驚いた』。館内の食事風景 温泉単体ではなく、食事や滞在全体として『体験』がアップグレードされた証だ。

持続可能な観光モデルが示すもの

このプロジェクトは、単なる施設再生ではない。川根本町が抱える『過疎化』『高齢化』『季節変動』といった構造課題に、民間のノウハウとデジタル技術を注入し、『観光で地域を活かす』新しい方程式を示している。

接岨峡温泉の『若返りの湯』が、地域そのものを若返らせる——。紅葉シーズン、SL に揺られて渓谷へ。泊まることで、温泉の深みと町の息づかいを感じてほしい。秘境の宿が、中山間地域の希望の灯になる瞬間を、その目で確かめに来ないか。

今週末は、川根本町・接岨峡温泉会館へ。宿泊予約は公式プラットフォームから。

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