安来節の九州展開:継承課題をどう超えるか
「どじょうをすくうように、地面に肘をつき、ユーモラスに飛び跳ねる男踊り」。安来節といえば、この姿を思い浮かべる人が多いだろう。江戸時代から島根県安来市で育まれたこの民謡は、今秋、意外な地での公演を控えている。民謡が盛んな九州、特に北九州市で開催されることが決まったのだ。しかし、その裏には、伝統文化が直面する現代的な課題が色濃く投影されていた。
安来節は、七七七五調の歌に三味線、銭太鼓、そして「どじょうすくい」の踊りが一体化した総合芸能だ。その歴史は江戸中期にさかのぼり、北前船で賑わった安来港で船頭たちが歌った佐渡おけさや追分節がルーツとされる。天保年間に芸妓「おさん」が歌った「さんこ節」を鍼医の大塚順仙が改良し、現在の形に発展したと伝わる。
安来市古川町にある「安来節演芸館」は、この芸能の殿堂だ。土日祝には定期的に公演が行われ、観客は本場の唄と踊りに加え、銭太鼓の軽快なリズムや「どじょうすくい体験」も楽しめる。リニューアル後は神楽や落語も取り入れ、「寄席」の要素を強め、より幅広い世代に親しめる場を目指している。
しかし、九州進出の背景には、切実な継承課題が横たわる。安来節保存会は全国に59支部、約2600人の会員を擁するが、九州にはまだ支部がなく、県外愛好者の受け皿が十分でない。,"安来市は民謡が盛んな九州での安来節普及を後押しするため、今秋に北九州市などで公演を行う。安来節は県外にも広く愛好者がいるが、保存会支部が活動しているのは関東や関西など一部地域。九州には支部がなく、現地での継承活動が課題となっている。"(山陰中央新報デジタル記事より)
高齢化と会員減少は、日本の伝統芸能が共通して直面する問題だ。安来節も例外ではない。そこで近年、新しい試みが相次いでいる。一般社団法人Channel47と協働で制作された「ネオ安来節」は、楽曲や衣装、振付をプロのクリエイターに依頼し、伝統芸能を現代風にリブランディングしたもの。ミュージックビデオとドキュメンタリーをYouTubeで公開し、「安来節を世界に!」をテーマに、若者やインバウンドへのアプローチを図っている。
正月の「唄い初め会」には、全国から会員が集まる。 diving deeper into the preservation society's activities, we see that members can choose from five disciplines: song, string (shamisen), drum, dance (dojo-sucking men's dance), and zenidaiko. Even one person can learn multiple disciplines. However, the barrier to entry and the aging of existing members are real concerns.
関西地区の師範研修会では、九州から参加した会員もいたという。"安来節保存会の師範の資格を取得している会員が全国から集まり自己研鑽を行った"(笑顔でいきいきブログより)。このような全国ネットワークは強みだが、九州に支部がなければ、現地での継承活動は個人の熱意に依存せざるを得ない。
九州は、民謡王国として知られる。九州各県にはそれぞれ独自の民謡が根付き、特に熊本の「おてもやん」、鹿児島の「よさこい節」、福岡の「おおあらら節」などは全国的にも有名だ。そうした土地に安来節を広めることは、単なる進出ではなく、文化交流になる。北九州での公演は、その第一歩となるはずだ。
しかし、課題は山積みだ。公演は一時的な盛り上がりで終わらず、現地に愛好者の群れを作り、将来的な支部設立につながるような仕掛けが必要だろう。保存会の全国支部数は59だが、年々減少傾向にあるとの声も聞く。継承には、若い世代の参加が不可欠で、そのためには「ネオ安来節」のような現代的なアプローチと、伝統の深みを同時に伝える二刀流が求められる。
安来市としても、MICE(会議・展示・国際会議・イベント)誘致と組み合わせ、"安来旅"ツアー事業を通じて「ネオ安来節」を展開するなど、観光資源としての活用に本腰を入れている。伝統芸能を「文化財」として大切に守るだけでなく、「活きた文化」として経済や地域交流に結びつける試みは、他の伝統芸能にも参考になる。
結びとして、私たち読者にもできることがある。安来節演芸館を訪れ、生の演奏と踊りに触れる。あるいは、地元の preservation society に問い合わせ、教室に通ってみる。,"1人で何種目でも選択可能"(保存会入会案内より)なので、歌だけ、踊りだけ、という気軽な参加も可能だ。
九州公演が成功し、現地に安来節の輪が広がるか。それは、安来市だけの問題ではなく、日本の伝統文化が現代社会でどう生き残るかという大きな問いでもある。
今週末、安来節演芸館を訪れてみては? 土日祝の定期公演(11時20分、13時20分)は予約不要。どじょうすくい体験もできる。伝統の熱気を体感し、あなたも安来節の一味になってみないか。
(参考:安来節、九州で広めたい 市が今秋公演 保存会支部なし 継承へ会員募る|山陰中央新報デジタル)