美唄市の魅力、VRで旅する新体験
北海道のほぼ中央に位置し、札幌と旭川の中間にある美唄市。人口約2万3000人のこの街が、2016年に日本初の自治体公式VR観光アプリをリリースしたことをご存じだろうか。「VR観光体験 ~北海道美唄市~」と名付けられたこのアプリは、まさにコロナ禍以降のデジタルシティプロモーションの先駆けとなった。
アプリを起動すると、美唄市内の観光地や名物が360度パノラマ映像で楽しめる。スマートフォンを傾けたり動かしたりするだけで、まるでその場にいるかのような臨場感が味わえるのだ。東明公園の展望台から美唄の街並みを一望したり、宮島沼でマガンのねぐら立ちを観察したり。炭鉱の歴史を伝えるメモリアル森林公園では、かつての炭鉱住宅の中に入り込んで当時の暮らしを疑似体験することもできる。
このアプリの特徴は、美唄の食文化も存分に楽しめる点だ。美唄市民のソウルフードといえば、なんといっても「美唄焼き鳥」。VRの中で焼き鳥屋さんの店内に入り、ジュージュー焼ける音や香ばしい匂いまで感じられるような気分になる。焼き鳥は鶏肉ではなく豚肉を使うのが美唄流。タレの甘辛さと炭火の香りがたまらない。
実はこのアプリ、単なる観光PRのためだけに作られたわけではない。美唄市は2016年2月にタイ・バンコクで開催された旅行博「TITF2016」で、このアプリを使って市の魅力をアピール。その結果、TITF以降、美唄市を訪れるタイ人観光客は延べ220人にまで増えたという。遠く離れた国の人々に、美唄の自然や食、歴史を届けることに成功したのだ。
VRアプリの開発は、VRコンテンツ企画制作や3Dパノラマ制作のベンチャー企業、ダブルエムエンタテインメント(札幌市白石区)とタオソフトウェア(東京都)、キロル(札幌市)が協力して行った。美唄市の観光交流課が中心となり、市内の様々な名所や名物を網羅するコンテンツ作りに取り組んだ。
実際にアプリを体験した人の声も興味深い。「今日は、ヤフーニュースで発見して美唄市観光体験のスマホアプリをAndroidなのでGoogleプレイで検索ダウンロードして体験しました。稲刈りの動画もあったが、ネギの収穫機械も良いかもとあるあるでした。空知神社の初詣とお祭りもありました」(白クマ・大沼公園のブログより)。まるで美唄の四季を巡る旅をしているような感覚を味わえたようだ。
このアプリ、実はバージョンアップを重ねている。当初は5つのコンテンツだったが、その後スペースカリヨン展望台、東明駅(三菱鉱業美唄鉄道の駅舎として保存されている)、美唄の初詣の静止画のほか新たに動画コンテンツとして宮島沼のねぐら立ちや歌舞裸祭り、コメの収穫など15の観光地、地域産業などを紹介できるようにパワーアップした。
美唄市は、豊かな自然と炭鉱の歴史、そして独自の食文化が息づく街だ。VRアプリを通じて、その魅力の一端を味わうことができる。実際に美唄を訪れた際には、ぜひこのアプリをダウンロードして、事前に予習しておくのもおすすめだ。東明公園の芝生広場で寝転んだり、美唄焼き鳥の香ばしい匂いをかいだり、宮島沼でマガンの大群に出会ったり。VRの予習が、本物の旅をより深いものにしてくれるはずだ。
美唄市の魅力、VRで旅する新体験。ぜひ一度、このアプリを通じて美唄の四季を巡る旅を楽しんでみてはいかがだろうか。きっとあなたの心に残る、忘れられない旅になることだろう。
(参考URL)
- VR観光体験 ~北海道美唄市~(Google Play)
- 美唄市観光交流課公式サイト
- 美唄市観光VRアプリ紹介サイト