「ワクワクする町」への挑戦
2月1日、三重県大台町の町長選挙で初当選を果たした上瀬裕美さん。44歳の新町長は、町役場に初登庁するやいなや、職員たちにこう呼びかけた。
「皆さんが積み重ねてきた仕事があるからこその大台町の未来です。今日から一緒に頑張っていきましょう」
その言葉に、集まった職員たちから自然と拍手が湧き起こった。初の女性町長の誕生は、町民だけでなく職員たちにとっても新たな希望となったようだ。
異色の経歴が生んだ「町デザイナー」
上瀬さんの経歴は実にユニークだ。相可高校卒業後、私立立命館大学を経て大手広告代理店に就職。東京で働いていたが、祖母が暮らしていた大台町に移住し、2009年から町職員として約10年間勤務した。
「広告代理店時代は、クライアントの商品をいかに魅力的に見せるかを考える仕事でした。その経験が、今の町づくりに生きていると思います」
町職員を退職後、京都大学公共政策大学院で学び直し、2022年の町議選でトップ当選。そして今年1月、町長選に初出馬して見事初当選を果たした。
「UターンではなくJターン。東京と大台町を行き来しながら、両方の良さを活かす生き方を選びました」
「ワクワクするサービス」の正体
上瀬さんのキャッチフレーズは「ワクワクするサービスを」。では、その「ワクワクするサービス」とは一体何なのか。
「政策はやはり、費用対効果、データを活用して分析、評価をするという意味では科学、サイエンスですが、一方で政策はアートでもあると思っています」
上瀬さんは、職員がワクワクする仕事、町民がワクワクする行政サービスを追求していきたいと語る。そのためには、なるべく現場に出向き、町民と対話を重ねることが大切だという。
「現場には現物、現実がある。これまで以上に町民の皆さんと対話をしてもらい、施策の実行をよろしくお願いします。新しい町、デザインを進めてまいりましょう」
具体的な政策ビジョン
上瀬さんは、全ての政策を有機的に組み立てて、「便利でオシャレな町づくり!」をビジョンに掲げている。具体的には、
- 国や県の補助事業を活用し、町民の要望に即した仕組みづくりを進める
- 高齢化を前向きに捉えて生活支援策を打つ
- 小中学校への国際的な教育プログラム「国際バカロレア」の導入を目指す
といった政策を打ち出している。
特に注目したいのは、公共交通の整備だ。上瀬さんは、公共交通の整備を進め、自由に移動できる町にすることを目指している。
「高齢化が進む中で、移動手段の確保は大きな課題です。バス路線の拡充や、住民の足となるコミュニティバスの導入を検討しています」
女性ならではの視点
大台町初の女性町長として、上瀬さんには女性ならではの視点も期待されている。
「女性ならではの視点というのは、例えば子育て世代の声を政策に反映させること。保育園の整備や、子どもが安心して遊べる場所の整備など、女性ならではの視点で町づくりを進めていきたい」
また、副町長も女性の西尾真由子氏(54)が務めており、首長、副首長ともに女性となるのは県内唯一。女性の力を活かした町づくりに期待が高まる。
町民との対話を大切に
上瀬さんは、町民との対話を大切にしている。選挙活動では、後援会を作らず、政治献金を受け取らないという手作りでの挑戦を宣言した。
「町民の皆さんとコミュニケーションをとりながら、本当に求めている事は何なのかを確認しながら進めることが大事」
町民の声を聞き、その声を政策に反映させる。それが上瀬さんの政治姿勢だ。
大台町の未来像
上瀬さんは、「世界でonly oneな町をつくる!」をテーマに活動する「町デザイナー」でもある。では、上瀬さんが描く大台町の未来像とはどのようなものなのだろうか。
「大台町は、自然豊かで、歴史ある町です。その良さを活かしながら、新たな魅力を創造していきたい。例えば、観光資源を活かした町づくりや、地元産品を活用した特産品の開発など、町の個性を生かした取り組みを進めていきたい」
上瀬さんの目指す大台町は、住んでよし、訪れてよしの魅力的な町。その実現に向けて、上瀬さんの挑戦は始まったばかりだ。
まとめ
大台町初の女性町長として、上瀬裕美さんの挑戦は、地域政治史における画期的な出来事である。「ワクワクするサービス」というキャッチフレーズから、町の将来像や具体的な政策内容に読者の関心が集まるのは当然だ。
上瀬さんの異色の経歴、具体的な政策ビジョン、女性ならではの視点、町民との対話を大切にする姿勢など、多くの魅力を持つ新町長の挑戦から目が離せない。
今後の大台町の動向に注目しながら、上瀬さんの挑戦を見守っていきたい。